矢野工業株式会社トップページへ
+index +ぎょう鉄 辞典 +熱処理のルール   

熱処理のルール


熱処理というのは簡単にいえば”赤らめて、冷やす”ことです。
しかし、やたら赤らめてもでめです。ルールがあります。焼きなまし、焼ならし、焼入れ、は必ず 起こさなければいけない温度があります。
これを、変態点といいます。
変態と言うのは、性質ががらりとかわることをいいます。(別物)つまり変身です。変態と変化は 違います。変化は性質が徐々変わることです。
例えば、鋼の棒を加熱すると温度が上がるとともに、棒の長さはだんだん増してきます。これは、変化です。ところが、ある温度に達すると、いままで伸びていた棒が加熱しているにもかかわらず 突然縮まるのです。これが変態です。
変態が起こる温度を変態点といいます。鋼にはこのへんたいが4つあり、各々番号がついています。
(A0,A1,A2,A3)のうち、熱処理で大切なのはA1です。このA1変態点が730℃ということになります。
このA1変態点を越して赤らめるのが、焼きなまし、焼ならし、焼入れの3つでA1変態点を1℃ でも下まわるとルール違反になってしまいます。

焼入れした後で行う、焼戻しはA1変態点を越してはいけません。
つまり、焼戻し温度は、700℃以下ということになります。
このように変態点をおこす、おこさないによって熱処理が変わるのです。
冷やし方ですが、これは”必要な温度範囲だけを、必要な速さで冷やす”と言う事です。
必要な温度範囲は、赤めた温度から火色がなくなる温度、つまり黒づく温度(色づく温度が約
600℃ですから、黒づく温度は約550℃と言う事になります。 記号Ar’)これを”臨界区域”と 言っています。
この温度範囲を早く冷やすと、焼が入ることになり、後で硬くなります。逆に遅く冷やすと焼きが
鈍って軟らかくなります。これが焼きなましです。鋼が硬くなるのも、臨界区域を早く冷やすか、
遅く冷すかで、きまります。
しかし、焼入れの時は臨界区域を早く冷やすと、およそ250度(Ar”)以下で膨張に変身します。
早く冷やされて縮みつつある鋼が突然膨張に変身するから、かなりのムリが生じます。このムリが
高じて割れたり、曲がりとなって現れたりします。
つまり、危険が多いから250℃以下を”危険区域”といいます。この危険区域は早く冷やしては
いけないわけで、ゆっくり冷やす事が大切なのです。
焼入れのポイントは、臨界区域だけを早く、危険区域はゆっくり冷やす。
(熱処理、参照)
※温度は鋼の材質によって変わります。

関連項目